オートバックス旭店 “人間力”が成長の源

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 株式会社図南(千葉県旭市、山本佳史社長)は、千葉県内で5つのオートバックス店を展開する。現会長の北村俊郎氏が1996年8月8日に同社を設立。2カ月後の10月10日、第1号店としてオープンしたのがここ、オートバックス旭店だ。同社は昨年、創業満20周年という大きな節目を迎えたが、すべてはこの店から始まった。

クルマに関わる全てをこの店で完結

オートバックス旭店
オートバックス旭店

 千葉市穴川と銚子市を結ぶ国道126号線沿いに所在。JR総武本線・旭駅からも近い。一帯はショッピングセンターなどが建ち並ぶ居住区。そこから離れると、農業や畜産業、漁業など第一次産業が盛んなエリアが拡がっている。

 旭市の人口は6万5000人規模。少子高齢化と過疎化が進む街――その典型にあるのが旭市だ。山本社長から聞く主な来店客像にも顕著に現れている。それは40歳代から50歳代の、長く地元地域で暮らす人々だ。店がさらに成長していくためには、そのような“親世代”だけでなく、20歳代の“子世代”のニーズをいかに取り込むかということにかかってくる。

 山本社長は「現在、来店するお客様の大半は親の世代。これからはそのお子さんが重要なターゲットとなるのは間違いない。まずはご両親と一緒にご来店いただいて、やがて引き継ぐような形で当店の固定客となっていただく。そうしていかないと、今のような客数の減少というトレンドに歯止めをかけることができない」、このように分析している。そのためには特色ある店づくりと、顧客のさまざまなニーズに対応することができる総合力、この言わば相反することを両立し、それぞれのレベルを上げなくてはならない。

オートバックス旭店
店内では車も販売している

 前者は“スペシャリスト”と言い換えることができる。それについて、オートバックス旭店では強みのある分野であるタイヤ販売、車検などのメンテナンスサービス、オイル交換――この3本柱に注力している。中でも現在、オイル交換が好調で、全売上げに占めるオイルの構成比が上がってきているという。

 「TOB、つまりタイヤ・オイル・バッテリーが重要な販売アイテム。このことは昔から変わらない」とした上で、山本社長は次のように続ける。

 「これらの商品を、お客様のニーズに応じて何をどのようにお奨めするのか、それにはわれわれ販売する側がしっかりとした商品知識がなくてはならない。そこで、たとえばタイヤならスタッフがタイヤ工場を見学し、新商品の試乗会・研修会にも参加するなど、地道な取り組みを続けてきている」――そこで得られた知見を販売の中で活かしているという。

 スタッフのひとり、同店フロアリーダーの平山裕隆さんの話はその例証と言える。

平山裕隆フロアリーダー(左)と、フィリピン出身のジョン・キングさん
平山裕隆フロアリーダー(左)と、フィリピン出身のジョン・キングさん

 「価格だけを見て、物を決めるようなお客様が多い。ただ、お客様には良いタイヤをつけてもらいたいとの思いから、お客様のご要望をお聞きした上で商品のご説明をし、それでご納得いただき購入につながるととても嬉しく感じる」

 見学会や試乗会といった、人が体感する機会が非常に大事だと、山本社長は捉えている。最近もタイヤの試乗会に参加したスタッフが大きな手応えを感じたという報告を聞いたそうだ。そこで今度はユーザーを対象に、図南独自のタイヤ試乗会を企画しているという。

 一方、後者は“オールラウンダー”と言い換えられる。そういう意味で、オートバックス旭店は「クルマに関わるすべてのことは当店でお任せを」というのが基本スタンスだ。他店との大きな違いは、カー用品店でありながらクルマの売買を行っていること。ここでは店内にクルマを陳列し販売している。

 ただ、山本社長は「クルマの売買は確かに差別化の一つかもしれない。しかし、本当に差別化を図らなければならない点は人を含めたソフトの面。ここでいかに他店との違いを明確にするかが重要だ」と指摘する。

 オートバックス旭店では接遇の向上に日々、力を入れ取り組んでいる。単にマニュアルに沿うだけの接遇ではなく、地域の特性に応じてそれをブラッシュアップすることで、地域のカラーにミートしたものとしている。

 「自らの力という意味での自力、それを上げることが成長に繋がる。そして、思い遣りの心を持つこと。それはお客様に対してもそうだし、従業員同士でもそう」――山本社長の考える“人間力”が、オートバックス旭店の成長の原動力となる。


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