1万円に10万円の付加価値を、イエローハット柏若柴店

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カテゴリー: ディーラー, レポート
イエローハット柏若柴店
イエローハット柏若柴店

 ロッキーエンタープライズ(千葉県柏市、宮澤加代社長)は、千葉県を中心に、合計8つのイエローハット店を展開する。

 専務取締役の渡部伸一氏によると、同社の創業者はイエローハットの母体となったローヤルの社長、鍵山秀三郎氏とともに、その黎明期からカー用品販売に取り組んできた。ローヤルで常務取締役を務めた後、1982年に独立。ロッキーエンタープライズを設立し、第1号店を埼玉県三郷市内に立ち上げた。

 その後、2号店、3号店と、相次いで新店舗を展開していく。しかし、創業者は当時50歳の若さで急逝。夫人の宮澤加代さんが後を継ぎ、社を支え業容を拡大。現在に至っている。

サービス部門の構成比も伸長

 渡部専務は創業者の長女と結婚する前、オフィス関連・情報関連事業をグローバルに展開する企業で営業職を担当していたという。それまではカー用品販売はおろか、自動車にもまったく興味がなかったそうだ。従って、同社が手掛ける事業の領域すべてが、渡部専務には新鮮だったに違いない。そのときに抱いた“思い”を現在、同社が展開する事業の中で具現化を図っている。

イエローハット柏若柴店
現在の展示はスタッドレスタイヤがメイン。地域のニーズに対応する。

 その最たるものが筋肉質の企業体質づくりだ。同社は現在、8店舗を運営中。この数年で急激に店舗数を拡大した。それにはイエローハットのグループ店舗だったドライバースタンドの屋号を変更し運営に携わった店もある。このように意図せず、周りの流れから拡大路線を進む道を選ぶケースもあったようだ。

 ただ、渡部専務は「若い人たちに夢を与えるには、店舗の拡大を視野に入れる必要がある」と話す。そのために「今はまず体制をより強化することに重きを置く」とする。社内の制度や仕組みづくりを行い、利益を毎年度きっちりと上げ続けることで、会社の経営基盤を盤石にしたい考えだ。

 カー用品販売の経営環境はこの2~3年、厳しい状況で推移している。それはロッキーエンタープライズにとっても同様。売上高は対前年比減収が続いた。

 だが、利益面は堅調な推移を見せているそうだ。とくに各店舗の粗利率が飛躍的に向上している。これにはサービス事業部門、中でも車検事業の伸びが大きく寄与していると、渡部専務は分析する。

 柏若柴店(柏市若柴)に関東運輸局指定の車検場を備えた。8店舗で受注したその多くをここで対応することが可能だ。社内に指定工場を持つことで車検の内製化を実現。それによって外注で発生するコストを大きくカットすることができたのだ。それにともない売上高に占めるサービス事業部門の構成比も伸長しているという。

イエローハット柏若柴店
イエローハット柏若柴店の店内

 「柏・松戸とその周辺エリアは車検の激戦区。その中で車検の成約を上げることに取り組み続け、それが実を結んできた。会社の中身を変えることで、利益体質ができあがりつつある。今後何かのご縁で店舗拡大の話が持ち上がったときに、二つ返事で手を挙げることができる会社になっていたい」――このように渡部専務は語る。

 「小売業は、今、目の前にいらっしゃるお客様にとことん尽くすことが何よりも大事。われわれ中小企業は、お客様にはTOO MUCHサービスの精神で臨むべき。たとえるなら、1万円の対価をいただいたら10万円の付加価値を差し上げるくらいの気持ちで相対する」、渡部専務はそう言う。

 それは“良い原因”をつくることしか“良い結果”を生まないという考えに則してのもの。「その一瞬、一瞬を大切にし、目の前のことにがむしゃらに取り組むことが重要だ」と続ける。

 ロッキーエンタープライズの新年度の方針もそれを受けて設けた。そのテーマは「今、ここ」。これはブッダ(釈迦)の「真理のことば 感興のことば」に出てくる句だ。「お客様が今、何をお求めになっているのかを一緒に考える。そういう地道で泥臭い作業を続けていく」と、渡部専務はそこに込めた意図を説明する。

 同社の8店舗すべてが地域に必要とされる店であり続けるために――意欲をもってそれに取り組む考えだ。


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