小野谷機工 タイヤチェンジャー「BIGMASTER ORX-999」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

 小野谷機工(福井県越前市)は生産財向けタイヤチェンジャー「BIGMASTER」(ビッグマスター)シリーズの最新機器として「BIGMASTER ORX-999」を10月より販売開始した。新製品は外径2400mmまでの大型タイヤに対応し、建設機械用(OR)からトラック・バス用、ライトトラック用まで幅広いタイヤに対応する。

世界初のモード切り替え機能搭載

 「ORX-999」は昨年6月に開催されたオートサービスショーにコンセプトモデルとして出展した後、国内の大手タイヤ販売店3社で実際にデモ機を使用してもらうことで、現場の意見を反映させて完成度を高めたモデルとなる。

商品開発本部の坂井氏
商品開発本部の坂井氏

 開発を担当した商品開発本部・機器商品開発部の坂井良治氏は、「グレートツールの採用が新製品の特徴のひとつ」と話す。従来はディスクツールと呼んでいたが、形状と角度を一新し、従来よりも使いやすさを追求したという。

 「ORタイヤのビードを外す際、従来のディスクツールではお皿の頂点と“懐”が浅く作業がやりにくい面があったが、新製品では最初から“懐”を深くして従来のディスクツールよりスピーディーにビードを落とすことができる」

 また爪部分もタイヤ販売店の意見をヒアリングしながら何度も改良を加えた。タイヤを引っ張り出す作業では、爪の薄さと形状が重要になってくるが、薄いほうがタイヤにかかるテンション、負荷は少なくなる。今回は材質を従来の鋼から粘りと強度を兼ね備えたクロモリ鋼に変更し、厚さは従来より2mmほど薄肉化させた。これにより作業時にタイヤへかかる負荷が低減されている。

 さらに「ORX-999」には新機能として「シングル・ダブルアクション切り替え機能」が搭載されている点も注目だ。

新形状の「グレートツール」
新形状の「グレートツール」

 これはグレートツール部のツール台とチャック部のアーム台の移動方法を、交換作業の難易度やスピード、リム形状などによって使い分けを図ることができるというもの。実際の作業を坂井氏にデモンストレーションしてもらった。

 まずシングルモードではツールはツールだけ、アームはアームだけと単独で動く。このモードは慎重かつ確実な作業を行うケースに適している。次にダブルモードに切り替えると、ツール台とアーム台が連動して同時にスライドし、スピーディな作業が可能となる。

 同機ではボタンひとつでシングルとダブルを切り替えが可能で、この自由自在なオペレーションを実現した機能は世界で初めてだという。

薄さと強度を両立したツメ
薄さと強度を両立したツメ

 坂井氏はそのメリットについて次のように説明する。

 「シングルモードの場合はタイヤを好きな位置に動かして作業がやりやすい。一方のダブルモードではタイヤとツールが連動して動くので作業者から離れた位置で交差するため、オペレーターが一歩近づく必要があり、ORのような大きなタイヤだと作業がしにくい。TB用は表側をセットしてビードをブレークしたら、そのままツールを反転しセットが完了するので、ダブルのほうがスピードアップを図ることが可能だ」

 従来はシングルかダブルのどちらかという分け方だったが、「ORX-999」ではタイヤに合わせて動き方を変えることができ、効率的にタイヤの交換が行える。

ボタンの配置を改良したコントロールパネル
ボタンの配置を改良したコントロールパネル

 また今回はツールの自動運転機能も搭載した。通常は片側の作業が終わるとオペレーター自身がツールを反転して回す、という動作が必要だったが、「ORX-999」ではツールの倒立~反転~移動~ロックまでの動きを完全自動で行うことができる。人間自身による作業では、急いでいる時などツールロックが不完全な状態になってしまうことも考えられるが、その点からも安全性の向上が期待される。

 各種コントロールを行う操作ボックスもメインとセカンドの2カ所に設置した。ボタンの位置は押しやすいように配置を工夫しており、片手での操作も可能だ。

 同社のラインアップの中で最高峰に位置する「ビッグマスターORX-999」。大型タイヤの脱着作業の大幅な効率化や安全性の向上を実現するタイヤチェンジャーが誕生したといえそうだ。


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