東洋精器工業 乗用車用タイヤチェンジャー「PIT ATHLETE-Ⅱ」

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カテゴリー: レポート, 整備機器

目を惹く、つや消しブラック塗装

サポートアーム
ダブルのサポートアームを併用することで、ロープロタイヤでもホイールとタイヤビードの損傷を防止し軽労化を実現

 東洋精器工業はこのほど乗用車用タイヤチェンジャーが「PIT ATHLETE-Ⅱ(ピット アスリート―ツー)」を市場投入した。価格をエントリーモデル並みに抑えながら、ハイエンドモデルにひけをとらない、あるいはそれを上回るほど数々の機能を標準装備した。販売企画部の小出哲裕課長が実演デモと解説を担当してくれた。

 「PIT ATHLETE-Ⅱ」でまず目を引くのがそのカラーリングだ。つや消しのマットブラック。精悍、かつ高級感が漂う。タイヤチェンジャーやホイールバランサーなど足廻り整備機器は、一般的に赤色をベースに塗装したものが多くを占める。その中で、「PIT ATHLETE-Ⅱ」のマットブラック塗装はひときわ異彩を放つ。

 また、機器本体やオプション品のサポートアームを含め、そのフォルムとプロダクトデザインがシャープな印象を強く与える。「アスリート」という名称の由縁をそこに見ることができる。

 なお、「PIT ATHLETE-Ⅱ」には、本体右側に取り付ける「AL320」と、本体左側に取り付ける「AL330」、この2種のサポートアームをオプション品として用意した。

 「AL320」はプレスローラーとプレスバー、ディスクプレートで構成され、偏平タイヤやランフラットタイヤの脱着作業で軽労化に貢献。「AL330」はプレスバーとディスクプレートで構成され、偏平タイヤの交換作業に適している。いずれも省スペースに対応しコンパクト設計を採用した。

 小出課長によると、一般的な偏平タイヤであればどちらか一つのサポートアームで充分対応するという。またセンタープレスによるホイールチャッキングも一つのプレスユニットで可能だ。しかし、ランフラットタイヤや高剛性の超偏平タイヤの場合、「AL320」と「AL330」両方を併用するほうがタイヤのビード部やホイールに対する負荷がより軽減され損傷を防止し、作業者の負担も大幅に軽減されるという。そのようなことからダブルでのサポートアーム使用を推奨している。

ターンテーブル
樹脂製プロテクターで保護されたターンテーブル

 「PIT ATHLETE-Ⅱ」がモノトーンのインパクトが強いのは、金属のターンテーブルまでもがブラックだからだろう。ターンテーブルに樹脂製のテーブルプロテクターを標準装備してあるのだ。

 ただし、それは単なる飾りではない。金属のテーブル全体をプロテクターで保護することで、アルミホイールの傷付け防止を未然に図っているのだ。このプロテクターは縁廻りの形状を隆起させることで、トレイとしてバルブコアやバルブキャップなどの小物を“チョイ置き”することができるというアイデア品でもある。

 ターンテーブルのチャック爪にも“使える”工夫が凝らされている。チャックレンジをアーレンキー(六角スパナ)1本で簡単に変更することが可能なのだ。①最小10インチ~最大20インチ、②最小12インチ~最大22インチ、③最小14インチ~最大24インチ  この3段階のサイズレンジで。

 普段は自店で作業頻度の高いホイールサイズに合わせておいて、24インチのタイヤ交換の依頼があったときに、アーレンキーで直ちにチャックレンジを変更し対応する――という具合に使うことができるのだ。

確実なビードめくり作業
確実なビードめくり作業

 ターンテーブルは2スピードモーターを標準搭載(防爆使用を除く)。回転速度を自在に上げ下げでき、作業効率を高めてくれる。

 またエアーインフレーターも標準装備した。これはエアーの充てん時にビードシーティングが円滑に進まない場合に、チャック爪の後方からジェットエアーを噴出させることで、エアー充てんのビードアップをサポートするという機能だ。

 小出課長は二つのプレスバーやディスクプレートを操りながら、偏平タイヤの脱着作業をみるみるうちにこなす。「流れるような作業」という表現がぴったりだ。「ダブルでサポートアームを使えば、女性スタッフでも楽で安全に、ロープロタイヤの交換作業ができます」と説明する。

 コストパフォーマンスを追求したスタンダード機種でありながら、さまざまな機能を搭載した「PIT ATHLETE-Ⅱ」。今年70周年を迎えた同社の記念モデルと呼ぶにふさわしいフルスペック・タイヤチェンジャーだ。


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