日本グッドイヤー プレミアムカーへの新たな提案

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カテゴリー: レポート, 試乗

 日本グッドイヤーは、乗用車用コンフォートタイヤ「EfficientGrip(E-Grip)Comfort」と、ラグジュアリーSUV向け「EfficientGrip Performance SUV」を2月1日から発売した。発売に先駆けて、茨城県の日本自動車研究所テストコースで行った試乗会でそれぞれの性能を体感した。

 近年の新車市場は、グローバルで高級SUVの販売好調が続いており、国内でも新車用タイヤでは17インチ以上の大口径サイズの需要が拡大しつつある。こうした中で、今回の2商品はともにプレミアムカーユーザーをターゲットに開発。同社では「新商品の発売を機に、プレミアム市場での販売を本格化していく」と意欲を示す。

新商品「E-Grip」シリーズの試乗会

 「E-Grip Comfort」は、日本市場向けに専用開発したミドルクラスのコンフォートタイヤ。ショルダーブロックのピッチ数を従来品(EAGLE LS EXE)より13%増加させることで、静粛性を大幅に向上させた。

 また、柔軟性に優れる材料を配合したコンパウンドは路面からの衝撃を緩和し、滑らかな乗り心地を実現。さらに、新なたプロファイルを採用して接地形状の最適化を図るとともに、パターンとの相乗効果で高い路面追従性を発揮させた。

 この結果、従来品に比べてパターンノイズを28%、ロードノイズを7%それぞれ低減させたほか、ハンドリング性能は19%の向上を実現。転がり抵抗性能も15%低減している。

 一方、アジア・パシフィック地区向けの「E-Grip Performance SUV」は、現行品「E-Grip SUV HP01」の上位モデル。静粛性とともにハンドリング性能やウェット性能を高めたのが特徴。

 プレミアムSUVでニーズが高いノイズ抑制のためにトレッドブロックの最適化を施した。また、振動を抑えるトレッドベースコンパウンドや六角形のビードが快適な乗り心地と優れたステアリングレスポンスを両立させた。

 「SUV HP01」との比較では、ウェットブレーキは15%、ドライブレーキは9%向上。加えて、パターンノイズを9%低減させ、ドライハンドリング性能も14%改善した。

 発売サイズは「Comfort」が14~20インチの全51サイズ、「Performance SUV」が17~20インチの全25サイズで、価格は全てオープン。これにより、日本国内において「E-Grip」シリーズは、乗用車用が3パターン、SUV用が2パターンのラインアップとなった。

 金原雄次郎社長は「『E-Grip』は欧州でBMWやメルセデス・ベンツといった高級車への新車装着が増えてきている。それを受けて補修用の需要増が見込まれる日本でもしっかりとニーズを確保していく」と話していた。さらに「今回の2商品は日本でのブランドポジションを引き上げていくための武器でもある」と期待を込めた。

「Comfort」静粛性、快適性の確かな進化

E-Grip Comfort
E-Grip Comfort

 試乗会では、トヨタ・マークXで「E-Grip Comfort」と従来品を装着して比較を行った。

 当日は雨天のコンディション下、通常路面からすり減った古い路面、スラローム、振動試験路など様々な路面を走行したが、従来品との違いが最も顕著だったのが、連続した突起や段差を乗り越えた時だ。当然、どんなタイヤでも悪路を通過する際に多少ノイズが生じるが、新商品は、“ゴトゴト”などの細かい振動音が従来品に比べて少なく、スムーズにコースを通過することができた。

 大きく進化したハンドリング性能について、性能テストを担当するレーシングドライバーの宮原啓太氏が「ハンドルの切り始めの反応や動き出しの良さが従来品よりややおとなしい部分はあるが、動き出してからタイヤがロールをした時のバランスがよく取れている」と話すように、ワンランク上に仕上がっている印象だ。

E-Grip-Performance-SUV
E-Grip Performance SUV

 またコースを変えて、同社が「E-Grip」シリーズで“松竹梅”と位置付けている、スタンダードクラスの「ECO EG01」、新商品「Comfort」、高性能タイヤ「Performance」の3商品を比較。

 ウェット路面を走行したが、3商品の差は明らかだ。まず、「ECO EG01」は時速30kmでコーナリングをすると、外側に膨らむような不安を感じた。これに対し、「Comfort」は時速35kmに引き上げてもしっかり路面をグリップして安定した走りを見せた。さらにその上を行くのが「Performance」だ。時速40kmでコーナーを曲がることができ、フルブレーキングを行った際の制動距離は最短でトップレベルの実力を発揮した。

ハンドル操作に敏感に反応するSUVモデル

 「E-Grip Performance SUV」はレクサス・RX450hを使用し、従来品と比較。騒音評価では、両商品の違いはさほど感じられなかったのが正直なところだが、スラロームやレーンチェンジではハンドリング性能の進化が大きく現れた。

 新商品の場合はハンドルの操作に敏感に反応し、後席でも身体の揺れ幅は小さく、車両の収まりが早かった印象だ。

 高級車に相応しい高い静粛性と快適性を兼ね備えた「E-Grip Comfort」と「E-Grip Performance SUV」。同社にとってプレミアムセグメントで存在感を示すだけでなく、国内シェア拡大や収益力向上を加速するための重要な戦略商品となる。


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