販売力の向上こそ成長の鍵 ナンキュウ

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カテゴリー: ディーラー, レポート

 鹿児島県の老舗タイヤ店、ナンキュウ(本社・鹿児島県霧島市国分野口北1-91)。国産タイヤをはじめ各種輸入タイヤ、さらに農機用や更生タイヤまで、幅広ジャンルを取り扱う。当初、家族経営からスタートした会社だが、今では年商30億円、従業員約90人と、飛躍的に成長し続けている。代表取締役の村田武文さんに、これまでの振り返りと今後の展望を聞いた。

鹿児島県霧島市にあるナンキュウ
鹿児島県霧島市にあるナンキュウ

 ナンキュウは1974年の設立。村田武文さんによると、親族が商う材木業の傍らで、父親がトラック・バス用の更生タイヤ製造を事業として始めたそうだ。ただ、村田さんには家業を継ぐ考えはなかったという。

 大学生時代は法律を専攻していた。巷ではちょうど、ホーボー(Hobo)やバックパッカーといったカウンターカルチャーが大きなうねりとなっていた頃。村田さんも香港やタイなど、主に東南アジア諸国を訪ねては放浪したそうだ。

 学校を卒業後、村田さんは地元のテレビ局に入社した。地方のローカル局が続々と産声を上げた黎明期。在京のキー局に追い付け追い越せを合い言葉に、村田さんはテレビマンとしての業務に明け暮れる日々だった。

 そんなある日、父親から更生タイヤ工場の事業を手伝って欲しいと依頼された。村田さんが25歳のときだった。ほんの2~3カ月で良いから――親族の紹介で貿易商社への転職を決めていたタイミングだったのでそれくらいの期間ならと、渋々ながら引き受けたそうだ。その第一歩が40数年後の現在に至っている。

アジアンタイヤの草分けとして

 ナンキュウのタイヤビジネスのスタートはトラック・バス用更生タイヤの製造から。村田さんは「良いタイヤは作れても、会社には売る力がなかった」と、当時を振り返る。ただ村田さん自身もタイヤについて何も知識がなく、サイズの読み方すらわからなかったという。だが、学生時代に海外諸国を遍歴した経験が物を言う。ひとり、営業の職務を担い、九州・沖縄を回り顧客を開拓。また韓国に渡り、現地メーカー品の輸入販売を手がけるようにもなった。

村田武文社長(左)と村田篤洋専務
村田武文社長(左)と村田篤洋専務

 この時の経験が社の方向性を大きく変えた。更生タイヤの製造・販売は現在も続けているが、同社の事業の主流は卸売りと小売り、すなわち新品タイヤの販売へと大きく舵を切っていく。村田さんがタイヤ事業に関わるようになってから10年ほど経ってのことだ。

 中でも輸入タイヤの取り扱いには力を注いできている。「今でこそアジアンタイヤというふうに呼ばれ市場で認知されていますが、まだそんな通称が広まる前でどこの商社も扱っていない頃から、当社はいち早く韓国やインドネシアなどのメーカー品を取り扱うようになったのです」、そう村田さんは述懐する。取り扱いにあたっては、自身で必ず現地の工場を視察することに強いこだわりを持つ。製造過程を見て品質に納得した品しか選ばないのが信念だ。

 年号が平成へと移り、時代の流れも大きく変わった。バブル経済とその崩壊、さらに失われた10年等々と、国内経済は揺れ動く。ナンキュウの事業環境もその波に幾度も洗われる。それにいかに対応していくべきか――。そこで村田さんが描いた成長戦略は新品タイヤの拡販だった。

 地元の鹿児島をベースに、宮崎、熊本、沖縄で積極的に営業所を出店展開。現在、20店舗の販売ネットを構築。各営業所では生産財タイヤの販売をメインにメンテナンスなどを行っている。それに併せ、出張サービスカーを積極的に活用しているのも同社の特徴だ。

 「現在、50台ほどが稼働しています。“待ち”の商売ではなく、機動力を活かしたメンテナンス・サービスをご提供することで少しでもお客様のお役に立てるよう努めています」、村田さんはこのように続ける。

 一方、消費財タイヤでも多店舗展開を行っている。「タイヤ7(セブン)」という店名で精力的に出店中だ。ナンキュウとしては沖縄を含み九州エリアのみのネットワークだったが、タイヤセブンは2016年に千葉・木更津に出店した。初の関東圏進出である。2017年だけを列挙しても、3月に鹿児島・鹿屋店と沖縄・宜野湾店、9月に宮崎店、そしてつい先日、11月には鹿児島北インター店をグランドオープンさせたばかり。村田さんはさらなる成長を目指し意欲的に投資を続ける。

ナンキュウの店内
ナンキュウの店内

 この点について、「我々が生き残っていくためには、とにかく販売力をつけること。その1点に尽きます。それにはいかに人材を育てるかが鍵」と、村田さんは指摘。そのために自らが率先垂範しなければならないとする。地元に融け込み地域密着をモットーに顧客本位の商売を続けることが何よりも肝要だという。

 ネット通販が台頭するなど、小売りのビジネス自体が転換期にある。同社の次代を担う取締役専務の村田篤洋さんもそのことを強く実感する。

 「ユーザーが価格のことをよく知っています。そういう市場において、出張サービスや技術レベルの高いメンテナンスといった、付加価値の高いサービスをご提供することができるか。そこが問われていると思います。他店ではできない大型タイヤの脱着、扱っていない農業用タイヤであっても、ナンキュウに任せれば大丈夫だと、そう言っていただける店づくりを心がけています」

 2013年には旧営業所跡地にメガソーラー施設を建設した。順調に稼働し、同社グループの収益向上に大きく寄与しているという。「他人のやらないことをやってきました」とし、「業界の異端児」自認する村田さん。2年後の創業45周年、その後の50周年、100周年と、さらなる成長に向けアイデアを練っている。


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