三光産業の勇払リサイクル工場 更なる生産性向上へ

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カテゴリー: レポート, 現地

 北海道を中心に、タイヤのリサイクル事業に取り組む三光産業(北海道帯広市、髙橋勝也社長)。北海道苫小牧市内と宮城県仙台市内にリサイクル工場を稼働させている。その同社がこのほど、勇払リサイクル工場(苫小牧市)にマテリアルリサイクル専用の新処理施設を開所し、生産性のさらなる向上を実現した。現場からレポートする。

新処理施設の稼働開始 マテリアルリサイクルの更なる生産性向上へ

勇払リサイクル工場
勇払リサイクル工場

 タイヤを活かし 未来を生きる――三光グループの企業姿勢を示すアイキャッチだ。グループの中核を成す三光産業は現在、2つのリサイクル工場を稼働中。また北海道と本州にそれぞれ5カ所ずつの営業所を持ち、合計12拠点のネットワークを構築している。このネットをベースに、広く全国規模でタイヤのリサイクル事業を推進しているさなか。

 同社では廃タイヤの収集・運搬・中間処理を行っているが、その中心となるのが、ここ、勇払リサイクル工場だ。2006年2月から稼働を開始。敷地面積1万坪にも及ぶ広大な地所に、タイヤを集積させ、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクル、この両用途に向け中間処理を行っている。

三光産業の髙橋勝也社長
三光産業の髙橋勝也社長

 既存施設における廃タイヤの切断・破砕は米国CM(COLUNMBUS McKINNON)社製のフルオート破砕機で破砕・処理する。

 破砕作業時には磁石の性質を利用した選別機を使うことで、タイヤ内部にあるスチールワイヤなどの金属類を除去。それはまさに篩(ふるい)に掛ける仕組みであり、その選別工程を数度にわたり徹底的に行うことで、製品のゴムの純度を極限まで高めているのだ。

 髙橋社長によると、この既存の処理施設でのタイヤチップの生産能力は日当たり約160トンに達するという。

 またこの施設ではタイヤチップだけでなく、ゴム粉の加工も行っている。これはゴム製レンガやゴムマット、人工芝の弾性充填剤の主原料として利用される。利用目的に応じて3mmから1mmという非常に微細な粉末にまで加工することが可能だ。

 それに対し、このほど稼働を開始した新処理施設では、乗用車用タイヤなど主に小物のタイヤの破砕処理を行う。現在、日当たりの処理量は本数ベースで4000本~5000本、重量ベースで30トン~35トン。既存施設と同様、米国CM社製のフルオート破砕機で破砕する。

広大な敷地の勇払工場の一画に、ワンオペレーション作業を実現した新処理施設を稼働。納入先の規格に合致したタイヤチップをタイムリーに供給することを可能にした。

 集積場所からタイヤをベルトコンベヤに乗せる作業以外はすべて機械が自動で処理するワンオペレーションを実現した。

 この新処理施設の特徴は、ワイヤ類を分類しない状態でタイヤチップを製造すること。現在、納入先の定める規格に対応して、2インチ角のタイヤチップを製造し出荷している。

 髙橋社長は「サーマルリサイクル市場では今、タイヤチップの需要に対し供給過多で推移している。そのような状況のため、納入先はチップの品質に対し厳しい目を向けるようになってきた。規格サイズを外れた大きなチップ、長さの長いもの、ワイヤが切れないで伸びてしまったものなどは受け入れない。チップの製造事業者には需要先の規格に対応することが強く求められる」と、タイヤチップの製造の現状について解説してくれる。

 「当社の場合は、破砕するシュレッダーの歯を600時間程度と早めに交換し、カットの精度を高めている。納入先の規格に合致したタイヤチップを製造し、ニーズに応じて素早く供給することが非常に重要だ」、髙橋社長はこのように続ける。

 同社の新処理施設はフルキャパシティの稼働までまだゆとりがあり、生産能力の拡大が可能だという。用途や目的によりさまざまな可能性を秘めるマテリアルリサイクルの将来展望を考えると、この新処理施設は大きなポテンシャルがあると言える。

 同社では今後、マテリアルリサイクルの生産量拡大と生産性の向上を図っていく考え。それによりタイヤチップやゴム粉の販売量を拡大し、リサイクル事業の一層の成長を目指す。


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