ミシュランが考える「トータルパフォーマンス」の意義

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カテゴリー: ニュース

「トータルパフォーマンスこそ強みであり永遠の課題」

 7月上旬に開催された日本ミシュランタイヤの乗用車用スタッドレスタイヤ「MICHELIN X-ICE3+」の試乗会場で、同社研究開発本部の東中一之本部長取締役執行役員に技術面での考え方を聞いた。

――ミシュランの基本にある「トータルパフォーマンス」の意味は。

東中一之本部長
日本ミシュランタイヤの東中一之本部長

 「スタッドレスタイヤで一般道を走行していて、ドライバーが『何も感じなかった』というのは最高の褒め言葉だと理解している。特定の性能――例えばアイス性能だけを突出させることは可能だが、高速道路を夏タイヤのように走行でき、氷の上でもちゃんと止まれることが重要だ。『トータルで性能をパッケージングする』というのは我々の開発陣が常に意識している。

 逆にそれが期待外れと感じてしまうこともあるかもしれない。スポーツタイヤで『思ったより乗り心地が良い』という意見を聞くが、それはそういう風に開発している結果だ。スポーツタイヤであっても快適性は必要となる。我々は『このタイヤには、この性能は不要』という考え方は絶対にしない。そのトータルパフォーマンスこそがミシュランの強みであり、我々の永遠の課題とも言える」

 「刻々と変わる状況を分析することが非常に重要だ。群馬県の太田サイトでは将来に向けて様々な研究を進めているが、エンドユーザーが何を望むか、取り巻く環境がどう変わるかを念頭に置いている。それを日々分析すれば、自ずと将来の方向性は決まってくる」

――将来、完全自動運転車が普及した場合にタイヤの役割は。

 「クルマには人間が操る喜びがあると思うが、完全な自動運転になった時にはその喜びという部分は無くなっても良い。クルマが走るオフィスのようになれば快適性や居住性に重きが出てくるかもしれない。ただ、ドライビングプレジャーを求める人向けのクルマやタイヤは残るだろう」

――カーシェアなどが普及するとタイヤの需要は減るかもしれない。

 「単純にライフを半分にすれば2倍売れるが、そういう考え方はミシュランには無い。タイヤは最後の最後まで性能を維持し続けること、それが信念だ。それは環境面からも正しいことであり、そして最終的に付加価値となる」


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