【横浜ゴム】新社長に山石常務、野地社長は副会長に

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カテゴリー: ニュース

 横浜ゴムは1月31日に東京・港区の本社で会見を開き、野地彦旬社長(58歳)が取締役副会長に就任し、後任として山石昌孝取締役常務執行役員(54歳)が代表取締役社長に就任すると発表した。就任予定日は3月30日。南雲忠信代表取締役会長(69歳)は留任する。野地社長は昨年買収した蘭アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)の会長を兼任する。

横浜ゴム社長交代会見
野地社長(左)と新社長に就任する山石氏

 山石氏はこれまで秘書室長やヨコハマヨーロッパ取締役社長などを歴任。2014年に執行役員となり、経営企画本部長やタイヤ管掌を務めてきた。最近では横浜ゴムとして過去最大規模の買収額(約1356億円)となったATGの買収などで手腕を振るった。

 野地社長は2011年6月に当時の南雲社長からバトンを受けて社長に就任。この間、海外での生産能力増強や欧州のプレミアムカーへの新車装着拡大、モータースポーツ活動の推進など、主に海外におけるブランド力向上を進めてきた。また農業機械用タイヤを強みとするATGのほか、今年1月には産業車両用タイヤメーカーの愛知タイヤ工業を買収するなど生産財事業の強化にも取り組んできた。

 会見で野地社長は「生産財事業を含めてポートフォリオが安定し、101年目の道筋がついてきた。創業100周年を迎える2017年は中期経営計画の最終年。その総決算が今年の予算であり、私にとってまとめの年とした。私自身が52歳で社長に就任したことを顧み、再度若手にバトンを渡し、厳しい環境変化の中で勝ち抜く次の中期経営計画を託す」と社長交代の理由を挙げた。

 山石氏については「経営企画や事業企画で長らく活躍してきた実績があり、社内での人望も大変厚い」と評価し、「こうした大きな変革期の中での会社経営にこそ彼が最適な人材である」と信頼を述べた。

 今後はATGの会長として現地に赴任する予定。横浜ゴムの技術力や生産、販売などあらゆるノウハウと、コスト競争力に優れるATGの強みを融合させることで、2020年までにATG単体での売上高を現在の約2倍の1000億円に引き上げる。

 一方、山石氏はここ数年の経営環境を「新興の同業他社が積極的な設備投資を進め廉価製品を市場に投入した結果、需要に対し供給過剰となっている。経営戦略、成長戦略において従来の“直線的”な成長シナリオでは勝ち抜けない」と話す。特に「消費財タイヤで新興国メーカーにどう対応するのかが最大の課題」と位置づける。

 こうした中、「消費財は勝っていける市場がある、そこに注力して利益を稼いでいきたい」と意欲を示す。具体的な戦略は現在策定中で今後の経営計画に盛り込む。その上で「企業経営を着実な成長基調に乗せることが私に与えられた使命」と抱負を述べた。

 なお会長、副会長、社長の役割分担については、「(サッカーの)ツートップからスリートップへフォワードが1人増えたイメージ。新社長が101年目からの事業運営を担い、副会長はATGをメインに、会長は全体を見つつ社長をサポートする」(野地社長)としている。


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