横浜ゴム 冬用テストコース内に「屋内試験場」開設

 横浜ゴムは冬用タイヤの開発力強化を目的に、北海道旭川市にあるテストコース内に屋内氷盤試験場を開設した。屋内の試験場は、屋外と比べて天候や気温など外的要因の影響を受けにくく氷面を安定的に保つことができる。タイヤの高性能化に伴い評価数が増加する中、試験データの精度向上や計測業務の効率化へ繋げて競争力を高めていく。

氷上試験の精度向上、効率化へ

TTCH屋内氷盤試験場
横浜ゴムが開設した屋内氷盤試験場

 横浜ゴムは2月1日、テストコース「北海道タイヤテストセンター」(TTCH)に開設した屋内氷盤試験場を報道陣に公開した。同試験場は1月5日から運用を始めており、乗用車用タイヤ2レーン、トラック・バス用タイヤで1レーンを試験できる。建物は全長119m、全幅24m、総床面積は約2860平方メートル。鉄骨造の平屋建てとなっており、天井や屋根には積雪対策を施して安全面にも配慮した。

 同社は2015年12月に冬用タイヤの実車試験を、従来使用していたテストコース「T*MARY」(ティーマリー)からTTCHへ移管。敷地面積は4倍に拡大し、コース本数も増やしていた。同社ではTTCH以外にスウェーデンでも冬用タイヤのテストを行っているが、屋内の氷上試験施設を導入するのは今回が初めてとなる。

 一般的にテストコースでは、タイヤの乗り心地をはじめとした官能評価と性能データの計測が行われるが、「近年は評価数の増加や評価手法の高度化で計測業務が格段に増えてきた」(担当者)という。その中で氷上制動試験に関しては天候などによって路面コンディションが変動するため、屋外では正確な計測ができないケースもあった。新たな設備を活用することで試験本数を3、4割効率化できるようになる。運用状況をみて、来シーズン以降はテストコース全体で人員の最適な配置も検討する。

 同社の野呂政樹取締役常務執行役員は、「ウィンタータイヤでトップレベルの性能だと市場から評価して頂けることが目標」と述べ、マーケットニーズに応じて将来的には更なる設備の導入も視野に、開発力を一層高めていく考えを示した。

北海道プルービンググラウンド氷上ドーム-h
ブリヂストンの氷上ドーム

 タイヤの開発競争が激化する中、国内メーカーでいち早く本格的な室内試験設備を取り入れたのはブリヂストンだ。1996年に士別市に建設した北海道プルービンググラウンドは総面積236万9000平方メートルの用地を有しており、これまで5回にわたる拡張を実施。2005年10月には「氷上ドーム」を設置し、氷の管理も含めて長年培ってきた豊富なノウハウが強みだ。

 その一方で、将来に向けて試験場が担う役割は一層広がっていきそうだ。原秀男フェローは、「IoT化が進んだ際に交通インフラが氷点下20度あるいは猛吹雪のような状況下でも正常に作動するのか、システム全体を確認するための設備も求められるかもしれない」と話す。

 ユーザーの安全を支える冬用タイヤの開発、今後の車社会に対応した技術の検証の場へとその重要性は増してくる。

関連:横浜ゴム「北海道タイヤテストセンター」を公開 | ブリヂストン 北海道プルービンググラウンド


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