【東洋ゴム】空気の無い自動車タイヤ 実用化へ踏み出す

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カテゴリー: ニュース

 東洋ゴム工業はかねてから、空気充てんを必要としない自動車用タイヤの開発に取り組んでいるが、このほどその第6世代となるプロトモデルを開発。9月8日、大阪・吹田市内で、エアレスコンセプトタイヤ「noair」(ノアイア)として発表。報道関係者を対象に説明会と実車装着試走会を開催し、実物モデルを初公開した。

実用化へ大きく踏み出す

「noair」
「noair」

 タイヤの中に充てんされる空気には、荷重を支え、路面からの衝撃を和らげるという働きがある。東洋ゴムでは、そのような『空気入りタイヤの基本構造』を根本的に見直し、空気充てんを不要としながらもタイヤの基本性能を担保するという新しい概念を確立。その実現に向け、2006年からエアレスタイヤの研究に取り組んできた。

 特に近年は、使用するゴム量を減少させ、燃費の向上に寄与するという環境性、突然のパンクやバーストとそれにともなうタイヤ交換作業、メンテナンスフリーという安全性――この両観点から、エアレスタイヤの実用化に社会的な期待も高まっている。

守屋学本部長
守屋学本部長

 同社では空気に代わり荷重を支えるタイヤ構造として、リムに近い内芯部側に特殊な樹脂によるスポークを採用することで剛性を確保。外側の路面に接するトレッド部には材料設計基盤技術「ナノ・バランス・テクノロジー」で開発したゴム部材を採用した。またスポークとトレッドゴムの間にはカーボン繊維強化プラスチックを配して補強し、スポークにかかる荷重を低減している。

「noair」のX字型スポーク構造
「noair」のX字型スポーク構造

 技術第一本部の守屋学本部長によると、第5世代と比較し、第6世代で大きくした点はスポーク構造だという。今回、スポークをタイヤ幅の奥側と手前側を交互に交差させ連続させる「X字型スポーク構造」を採用。併せて、スポークの本数を前モデルより倍増させ100ピッチとした。これらにより耐久力を従来よりも大幅に向上させ、接地時に発生するスポークの打撃音を低減した。

 これら新技術を採用し開発した「ノアイア」は、質量で一般的な空気入りタイヤに対し2割ほど重いものの、過去モデル対比では1kg弱の軽量化を実現。耐久力は空気入りタイヤ適用法規をクリアし、過去モデルの8倍超向上した。

 一方、転がり抵抗は過去モデルの半分以下と大幅に低減し、同社製空気入りタイヤ市販品に比べても25%低減。ウェット制動距離も同社市販品対比で4%向上した。また高速走行性能についても、同社テストコースで時速120kmでの走行を確認しているという。

「noair」装着車両
「noair」装着車両

 説明会後、万博記念公園内に場所を移し、試走会を開催。ここではスズキ「アルト」と小型EV「FOMM」(フォム)に「ノアイア」を装着し、直進安定性やコーナリング性能、制動性能を絶対評価した。タイヤの基本性能である「走る・曲がる・止まる」について、「ノアイア」は一般的な空気入りタイヤと遜色ない性能を発揮。その実力を見せつけた。

 守屋本部長は、「操縦安定性や車外騒音は過去モデルから飛躍的に改善した。一方で車内音や乗り心地に課題が残る」とする。実用化や商品化は未定だが、「新車メーカーをはじめ、EVメーカーなど、多方面から関心を持って頂いている。今回の発表がオープンイノベーションのきっかけとなれば、エアレスタイヤの普及に向けての素地となるのではないか」と期待は大きい。

 同社では、次世代モビリティに役立つタイヤを追求するとして、今後も開発に取り組み、その速度を加速する考えだ。


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