【タイヤに驚きを】グッドデザイン賞を受賞した東洋ゴムの企画力

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カテゴリー: タイヤ事業戦略, 特集

 東洋ゴム工業はミニバン専用タイヤ「TRANPATH ML」(トランパス・エムエル)と軽自動車専用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T」(オープンカントリー・アールティ)で2016年の「グッドデザイン賞」を受賞した。タイヤの性能に加え、デザインと着想の両面が高く評価された2つの商品。その開発背景や、同社の受賞の歴史と賞への想い、そして今後の販売展開について、同社の関係者に話を聞いた。

ニーズにマッチしつつ、“驚き”を提供

TRANPATH ML

TRANPATH ML
TRANPATH ML

――開発の背景は

久保 市場の動向を調査すると、近頃のミニバンの売れ筋はエアロパーツの装着やインチアップをするような、車両が多いことがわかった。そこでターゲットを絞り込み、開発を開始した。

――開発の課題は

久保 ミニバンの特性を考慮し、今までのTRANPATH同様サイド剛性の維持、走行時の安定性を最優先した。また安全性の面ではタイヤラベリング制度でbの評価を持つウェット性能、そして摩耗性能を確保しながら、転がり抵抗をさらに1ランク上のAAにすることが最大の課題だった。

――受賞理由のひとつであるデザインについて

大橋 トレッド面でもっとも特徴的なデザインを、「Lモーショングルーブ」と呼んでいる。ターゲットが外装パーツを多く使用した車両なので、デザインをマッチさせるためデザイナーが国内外の車両を研究し、トレンドを調査する中で、鋭いラインの切り返しに着目した。独特のLモーションを中心にかなり際立ったデザインに仕上がった。

――販売展開やプロモーションについて

小橋 受賞前からすでに一般消費者向けの試走会を複数回行っている。毎回多くの応募があり、抽選になるほどご好評いただいている。一部の方に限定された機会ではあるが、実際に乗っていただくことがなによりのアピールなので、今後も続けていきたい。

OPEN COUNTRY R/T

OPEN COUNTRY R/T
OPEN COUNTRY R/T

――R/Tという新しいジャンルの開発を決めた背景は

大橋 スモール四駆向けタイヤはバリエーションが少なく、泥濘地むけのM/Tタイヤを履いているユーザーが多かった。ここにSUV用軽自動車が発売され、ニーズをカバーできないかと考えて開発した。

――課題はどこにあったのか

大橋 ユーザーの多くは、M/Tタイヤを履いていても一般道を走ることが多く、ノイズ性能を考慮する必要を感じた。オンロードでの乗り心地や静粛性を考え、全天候型のA/TとM/Tを兼ね備えた、起伏があるパターンを持つラギッド・テレイン(R/T)に決まった。

――特徴的なトレッドについて

大橋 ショルダー部はマッドステージを走れる大きいブロックに、幅広のスリットが入ったデザインを採用した。センター部はデザインをつなぎ合わせてL字型にし、ブロックを切りながら周方向の剛性を上げた。また位相をずらしてノイズ性能も向上させた。オンとオフどちらのユーザーからも喜んでもらえるタイヤになった。

――販売展開について

小橋 装着イメージや走行シーンを動画や自動車専門誌で露出している。また、車両の愛好者が集まるイベントで、実際に見てもらい乗ってもらうことに注力している。ユーザーからの質問も多く、今年1月の東京オートサロンで参考出品してが、一番問い合わせが多かった。

古口 発売前から問い合わせが多い商品。まさに当社らしい発想と評価をいただいている。オンロード性能を重視しつつオフロードでも最低限の性能を発揮する良さが分かる商品として、自信を持って売っていきたい。

グッドデザイン賞との関わり

――グッドデザイン賞にまつわる東洋ゴムの歴史は

(左から)タイヤ技術本部REタイヤ開発部商品開発グループの大橋稔之担当リーダー、同グループの久保直也さん、タイヤ企画本部タイヤ企画管理部商品企画チーム課長代理の瀧俊幸さん、タイヤ事業本部タイヤ国内営業本部企画・販促グループの古口敦規課長、同グループの小橋政昭グループ長
(左から)タイヤ技術本部REタイヤ開発部商品開発グループの大橋稔之担当リーダー、同グループの久保直也さん、タイヤ企画本部タイヤ企画管理部商品企画チーム課長代理の瀧俊幸さん、タイヤ事業本部タイヤ国内営業本部企画・販促グループの古口敦規課長、同グループの小橋政昭グループ長

 初受賞は1995年で、ミニバン専用タイヤのTRANPATH MP。その後は受賞を目指す活動を休止していたが2012年から再開し、TRANPATH MPFとNANOENERGY(ナノエナジー)シリーズで受賞後、5年連続で受賞した。

グッドデザイン賞はとても名誉な賞。一般の消費者への訴求の付加価値だけでなく、社内へも影響は大きい。開発陣も新商品の開発に良い刺激になっている。

――受賞の決め手と感じたのは

大橋 製品の性能だけではなく、プロダクトとしてどのようなテーマを持って開発を進めたのかも評価される。TRANPATH MLはミニバン専用タイヤというジャンルの中でミドルクラスミニバン向けというコンセプトとデザイン、R/Tはオンとオフの性能を両立した点が評価された。

今後の展開は

――販売店関係者へメッセージを

大橋 今回受賞した2つの商品は、デザインでの驚きと乗った時の驚き、両方を備えた驚きのあるタイヤ。TRANPATH MLは車種専用タイヤならではの乗り心地、OPEN COUNTRY R/Tはオンオフを両立した性能を、実際に体感していただきたい。

久保 受賞した2商品とも、細かなニーズに対応した部分を評価いただいたと考えている。これからもメーカーの独りよがりな製品開発にならないよう、ニーズにマッチする商品を開発していきたい。

小橋 販売する皆様にも、その発想があったのかという驚きを感じていただきたい。消費者のニーズを吸い上げて企画し、この商品は売りやすいという感想を持っていただけるよう今後も努力していく。

古口 ミニバン専用タイヤはまだ消費者に浸透しきっているとはいえない現状なので、試走会でもタイヤを変えるとこんなに違うという驚きの声を聞いた。ぜひミニバンにはミニバン専用タイヤTRANPATHを勧めていただきたい。OPEN COUNTRY R/Tは見た目以上にオンとオフの性能を兼ね備えているので、ぜひ体感して欲しい。

 グッドデザイン賞はデザインだけの賞ではない。コンセプトを含めた受賞であることを踏まえ、今後も商品のコンセプトを大切にした開発を続けたい。


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