ブリヂストン 市場を変える取り組みを

 「タイヤの価値の創造・伝達」に意欲的に取り組むブリヂストン。それをユーザーにわかりやすい形で示しているのが新車装着タイヤのレベルを起点とした売り方だ。ブリヂストンタイヤジャパンの真鍋利明社長に話を聞いた。(自動車タイヤ新聞2016年4月20日号から一部を抜粋し編集しています)

市場を変える取り組みを

 ――2015年の事業環境について振り返ってください。

真鍋利明社長
ブリヂストンタイヤジャパン真鍋利明社長

 2014年は3月の消費税増税にともなう駆け込み需要がありましたので、その影響から2015年1月~3月は前年同期と比べるとある程度落ちるとは想定していましたが、4月以降も期待していたほどは需要は伸びませんでした。

 また下期は何と言っても暖冬の影響を強く受けました。スタッドレスは近年、非降雪地区を中心に需要が伸びる傾向にありましたが、落ち幅が大きかったです。

 生産財については、様々な業界で季節商品がきちんと動くかどうかが、タイヤの需要に影響してきます。夏が暑ければ暑いほど、それに応じる商品が動きますし、冬は寒ければ寒いほど、冬物衣料などいろいろな業界の季節商品が動きますよね。それによって荷動きが活発になるのですが、暖冬によって冬物の動きが止まました。

 ――ブリヂストンは「タイヤの価値の創造・伝達」に取り組んでこられたのですが、この1年をどう評価されますか。

 1970年から2000年までの間、タイヤ需要は5倍になっていますが、2001年から2015年までの15年間では、ほぼ横ばいです。その間、国内経済はデフレ状況が続きました。需要が成長している間は、需要の伸びに合わせて売上げも伸びる。ですが、需要が伸びない中で、15年間ずっと、同じようなやり方で商売をしてきてしまいました。

 需要が伸びず、モノが売れなくなると、さらに低価格志向が強まっていきます。そのような時にまず考えたのは「われわれの存在価値、存在意義とは何だろうか」ということです。その答えはやはり、お客さまに安全・安心をご提供し、タイヤによってクルマを足元から支えるということでした。そのことをもう一度しっかり意識し、そのことにもっと自信を持つべきではないか。そのような考えに至ったのです。

 その時に「新車に装着されているタイヤの性能はどのようなレベルなのだろうか」ということに、改めて考えを巡らしてみたのです。

 リプレイス市場では、売り手側も価格を押し出していましたから、新車装着タイヤよりも性能レベルが低いタイヤを販売する傾向が強くなっていました。つまり、ギャップが生まれていたのです。そこでまず、タイヤ館で販売手法を変えてみることに着手しました。

 お客さまに新車装着タイヤの価値をお伝えし新車装着タイヤのレベルを起点とした売り方に変えていったのです。販売スタッフには、安全・安心をご提供するということの意味合いを意識してもらい、タイヤを販売することにもっと自信を持ってもらいたいと思ったのです。

 ――メーカー希望小売価格の適用拡大に、2015年から取り組み始めました。

 メーカー希望小売価格を止めた背景は、メーカー希望小売価格と実売価格に乖離(かいり)が生じ、いわゆる二重価格になっていたためです。

 考えますと、価値をお伝えせずに、また目安も出さずに、単に価格だけの商売になっていたのではないか。お客さまに選択肢をきっちりと説明し、それぞれのタイヤ性能を明確に示すには、メーカー希望小売価をつけるのがわかりやすい。こうした考えが、今回のメーカー希望小売価格の適用拡大の背景にあるのです。

 実際にそれをどう受け取られるのか、一抹の不安はありました。さらに言えば、また二重価格に戻ってしまうようなことないか、そういう不安もありました。ですが、思い切ってやってみたところ、反応は良かったですね。

 ――2016年の事業をどのように展開していくのかを聞かせてください。

 需要が伸びていたときの仕組みと構造、システムで販売するのではなく、本当にお客さまの視点に立った仕組みに変えていかなければなりません。そうすることで市場も変えていかなくてはならないと思っています。

 安全・安心をご提供するということを考えますと、タイヤの価値をきちんとお伝えしていくべきです。そのために人を育てなくてはなりません。売れれば何でも良いという時代ではありません。質をともなった成長をしなくてはならないと思います。

 そのためには、我々がタイヤの価値を理解し、それを販売店の皆さまにお伝えすることで、自信にもつながってきます。それがエンドユーザーの方々に伝わることによって、タイヤの価値が理解される。そういうスパイラルを期待しています。

 タイヤの価値をお伝えする術(すべ)ということを考えると、タイヤは商品の特性上、お客さまの関心がどうしても低い。能動的にインターネットなどを見ることも少ないようです。やはり、信頼する人を通じての意見が大きく左右してきます。そういう点から考えると、人材育成の取り組みを強化しなくてはいけない。

 これは生産財タイヤでも同じことが言えます。現在、ドライバーの方が不足していたり、メンテナンスに大変な労力がかかっているのであれば、そこでタイヤのほうで何ができるのか。タイヤの取り付けをはじめ点検など、安全・安心を支えるのにどうお役に立てるのか。そこを考えてお客さまに提案していくことが根幹だと思うのです。


[PR]

[PR]

【関連記事】