東洋ゴム工業 今一度、国内市場を重視

 昨年は免震ゴム・防振ゴム問題で逆風の環境下、取引先の奮闘などにより、タイヤ販売は業界水準を維持した東洋ゴム工業。2016年は信頼回復に取り組むとともに、タイヤ事業では改めて“国内重視”を掲げ、販売増を目指す方針だ。同社の櫻本保常務執行役員に今期の重点施策を聞いた。(自動車タイヤ新聞2016年5月25日号から一部を抜粋し編集しています)

今一度、国内市場を重視

 ――2015年の国内市販用タイヤ事業を振り返ってください。

 ご承知のとおり、当社は昨年3月、免震ゴムの不正問題を公表し、また10月には、一般産業用防振ゴムで行われていた不正が発覚し、これを公表しています。度重なる不祥事によって、多くの皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけし、謹んでお詫び申しあげたいと思います。

櫻本保常務執行役員
東洋ゴム工業 櫻本保常務執行役員

 夏用タイヤ、冬用タイヤとも、当社の市販用タイヤの販売は、日本自動車タイヤ協会(JATMA)の発表数値とほぼ同じように推移しました。結果として、業界の傾向と同等水準の販売を維持できたことは、ひとえに私どもの全国の取引先さまから大変なご尽力をいただいたお蔭にほかならず、改めてお取引先さまのご支援のあり難さと関係の重要性を痛感いたしました。

 また、こうした逆風の環境下で、販売の最前線に立っていただいた全国の自主系販売会社幹部の皆さま、社員の皆さま、そして、私どもの販売会社、トーヨータイヤジャパンの従業員の現場対応も大きな礎になったことは言うまでもありません。

 昨年は「TRANPATH」(トランパス)シリーズの誕生から20周年を迎え、キャンペーンなども予定していましたが、不祥事の発生を受けて自粛いたしました。また、予定していたテレビコマーシャルの投下も思うように行えませんでした。

 営業活動を盛り立てるために計画していた本来の支援機会の損失があり、やはり形勢的には、ビハインドを負わざるを得なかったと考えています。

 ただ、「トランパス」が我々の販売を牽引しているブランドであるのは間違いないですし、とくに軽自動車用の「トランパスLuK」ですね――この商品は当初は「価格が若干高い」という声もありましたが、徐々にその良さをわかっていただける取引先が増えてきました。「トランパスLuK」に関しては、同じカテゴリー商品の業界平均よりも販売の伸び率が高く、昨年は発売初年度の2014年よりもさらに伸びました。

 これは商品の良さが浸透してきたことに加えて、価格競争だけではなく付加価値のあるものを提供しているからこそ、満足いただけるのだと自負しています。

 ――冬用タイヤは業界全体で落ち込みが大きかったようですが。

 我々も予定していた量が出なかったので、今年は挽回したいですね。ただ、こうした中で「トランパス」シリーズのミニバン専用スタッドレスタイヤ「WINTERトランパス」は増販することができました。全体のシェアも保つことができたのもこれによると思っています。

 ――各社が天候に左右されないような仕組みづくりを進めています。

 当社は物流体制の再整備を進めています。在庫の持ち方については、当社とトーヨータイヤジャパンが一体となって管理する体制整備を行ない、一気通貫で管理できるようにしました。これによって一体運営ができるようになり、徐々に効果が出てきています。

 一番の問題は、必要な時にいかに品物を取引先にお届けできるかということです。とくに冬用タイヤは販売の時期が集中するので、いかに最前線でタイムリーに在庫を持っておくのかが重要です。きめ細かく在庫管理をするためのプロジェクトを、昨年よりスタートしました。

 ――2016年は1月に組織を変更しました。

 これまでビジネスユニット制を敷いていましたが、これを発展的に解消し、日本については「国内リプレイス営業本部」を立ち上げました。これは国内市場を重視する、その土台作りをすることが目的です。「当社は国内を重視する」という、会社としての意思表示ですね。

 なおかつリプレイス営業本部の中にトーヨータイヤジャパンとニットージャパンを設置しました。これはグループとして一体運営を行っていくためです。さらにリプレイス営業本部の下に企画管理部を設置することで、商品企画や広告宣伝を含めトーヨータイヤジャパンとも一体となって、より連係していくことを狙いとしています。

 またタイヤ技術サービス部を海外部門と国内部門にそれぞれ分離独立させました。従来はタイヤ技術サービス部として1つの組織でしたが、タイヤ国内技術サービス部をリプレイス営業本部の中に設置したことにより、取引先との距離をさらに縮めていく、そして商品関連の展開や対応をスピーディーにしていこうと考えています。

 ――ビジネスユニット制は2015年末までの4年間で解消することになりましたが、制度に課題はあったのですか。

 「日本ビジネスユニット」という名称でしたが、リプレイスという名前が付いていなかったため、生産から販売まで全てを網羅した、全体を統括する立場だと見られていた部分はあるかもしれません。一方、今のリプレイス営業本部というのは、より分かりやすい組織となっています。


[PR]

[PR]

【関連記事】